KAZU的磯採集のルール・マナー・モラル

  

  

はじめに

年を追って海水魚の採集家は増えています。
このホームページも含め、採集の仕方など情報は入手しやすくなりました。
ネット上で海水魚の採集を知り、気軽に出かけてみようと言う人も少なくないでしょう。

そういった人達はあまり罪の意識がなく、知らず知らずのうちにマナーやルールを犯している場合もあります。
私自身、始めた頃はそうでした(しみじみ)。
とあるコミュニティーサイトで、採集生物の中に「ケヤリムシ」と書いている人がいました。
それを見て誰も注意しようとはしていません。誰も≠ニ言うのは、私も含めての話ですので、反省しなくてはなりません。
それはさて置き(置くなよ!)、このような事柄でも分かるように、誰も教えてあげないのでそのままになってしまうケースが多いように思えます。

また自分一人くらいなら良いだろうと思っている人もいるようです。
もう10年位前の話になりますが、一緒に採集をした人のバケツにハードチューブが入っていた事がありました。
照れくさそうに「落ちていた」と言っていたので、「そう言う事もあるかもしれない」と思ったのですが、その後ハードチューブの数が増えていたので故意に採集をした事は間違いないでしょう。
その時も私は苦々しく思いながらも、黙っていたのでやはり私も同罪です。
当時は採集家の数も少なかったので、「まぁ、仕方がない」と言う気持ちが私の中にもありました。
しかし今のように採集家が倍増した状況の中では、「自分一人くらい」は即環境破壊に繋がっていまいます。

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無論、意図的に岩礁やサンゴを壊して海水魚を採集している「自分さえ良かったら、それで良い」と言う輩も確かに存在します。
そのようなダークサイドな採集家は少数派だとは思いますが、彼らのために採集家全体が悪者にされてしまう事も事実です。

さらには採集家とは呼べない人達もいます。
サンゴや無脊椎、ライブロックを採取しているショップや業者、そういう所へ持ち込む個人。
こんなのと一緒にされたのでは、採集家もたまったのもではありませんね。

私達採集家一人一人が、環境を大切にする姿勢を示し声を上げていけば、そのような自己中心的な採集家も肩身が狭くなり、態度を改めるか、いずれは居なくなるのではないでしょうか。
そこで改めてルールやモラル、マナーについて考えていきたいと思います。


漁業権を侵さない

魚はもとより、貝や海老、藻類には漁業権が設定されています。
では魚は採ってはいけないのかと言うと、魚にもよるし道具にもよると言う事です。
難しい話は嫌いなので(オイオイ)、一言で言ってしまうと、死滅回遊魚をタモ網などで採集する場合は対象外だと言う事です。
ちなみに以下の海洋生物は無断で採集できません(抜けているかもしれませんので、詳しくは自分で調べてください)

イセエビ、シャコ、タコ、ウニ、ナマコ、カメノテ、サザエ、アワビ、トコブシ、シリタカ、バカガイ、マテガイ、トリガイ、アカガイ、イガイ、タイラギ、ヒオウギガイ、ハマグリ、アサリ、シジミ、カキ、イタヤガイ、オゴノリ、フノリ、トサカノリ、ムカデノリ、テングサ、アマノリ、ホンダワラ、ヒジキ、ワカメ、モズク、アオサ 等

またどのような道具が禁止されているかは、水産庁のサイトを参考にしてください。

中には、「海は自然にできたもので、特定の人間(例えば漁師とか)が権利を主張するのはおかしい」と言う人もいます。
しかし既に法律で決まっている事なので、それを守るのが社会人です。
おかしいと思えば、ルールに則って法改定を要求すべきで、漁業権を無視するのはそれからでしょう。

それに漁師の人達はそれぞれ漁協に所属し、組合員としてのルールを守り資金も出しています。
それを無視する事は、ただ遊びに出かけている私達には出来ない事でしょう。


条例を守る

県によっては天然記念物に指定されている生物もいます。
例えば真鶴半島沿岸に生息するウメボシイソギンチャクやサンゴイソギンチャクは神奈川県指定の天然記念物です。
そのような生物は当然採集する事が出来ません。
また沖縄ではライブロックの採集には県知事の許可が必要です。
事前に良く調べてから、採集に出かけましょう。


ゴミは持ち帰る

日常的にも言える事ですが、ゴミはゴミ箱、タバコは灰皿。当たり前の事ですね。
コンビニ弁当の容器とか空き缶など、必ず持ち帰りましょう。
海は分別してくれませんよ。

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食べ物や果物の皮などの生ゴミは、比較的早く分解されていくので罪の意識も薄れがちですが、そういった物も必ず持ち帰りましょう。

バーベキューが禁止されている区域ではしないのは当たり前ですが、容認されている区域でも後片付けはキチンとしましょう。
来た時と同じ状態にしていくのがマナーです。


漁港内には潜らない

漁港内の多くは遊泳禁止です。
その場にいる漁師さんに了解をとったところで、その人に権利があるわけではないので、結局のところルール違反になってしまいます。
もし事故になれば自己責任ではすまなくなりますし、OKを出した漁師さんが責任を取ってくれるわけでもありません。
事故に巻き込んでしまった漁師の方に一番迷惑をかける事になります。

今ブレーキを付けない不法自転車の事故が社会問題になっていますが、もしそのような自転車が私達の運転する車の前に飛び出して来て、大きな事故になったらどうでしょう。
まったく迷惑な話ですが、弱者保護で責任の幾ばくかはとらなければならなくなるし、嫌な思いをしなくてはなりません。

漁港内での採集も同じ事ではないでしょうか。
安全だと思っているのは自分だけで、危険だからこそ禁止されているのだと思うべきではないでしょうか。

漁港内では堤防の上からの岸壁採集と言うやり方がありますから、それを極めてみるのも採集道の一つだと思います。


固着性の強い無脊椎動物を採集しない

固着性の強い無脊椎動物とは、サンゴ、イソギンチャク、イソバナ、ケヤリムシの仲間などの事です。
彼らを採集する為には、サンゴそのものを壊したり、岩礁を傷つけたりしなくてはなりません。
これって破壊ですよね。
採集家全員が、それぞれ勝手にそんな事をしはじめたら、地形が変わってしまってしまいます。なんて事はありませんが、慎むべきでしょう。

また最近流行のライブロックも生物と考えるべきでしょう。
条例の項で書いたように、沖縄ではむやみにライブロックを採集することは出来ません。
それはとりもなおさず、むやみに採集してしまえば、環境を壊してしまう危険があるからではないでしょうか。

このような固着性の強い動物には、それに宿って生活をしている生物が沢山います。
特にライブロックのように何が出てくるか分からないようなものには、非常に貴重な種が宿っている可能性があります。

みんなみんな、生きているんだ、友達なんだ(こう言うのって著作権侵害だなぁ)。
私達は彼らの生活圏で遊ばせてもらっている事を忘れないようにしましょう。


岩やサンゴを壊さない

今、これが一番問題になっている事柄のように思えます。
特にサンゴ礁の荒廃ぶりは、目を覆うものがあります。
昨日まで健全だったサンゴ礁が、一夜にして壊されるなんて事が、今、日常的に起きています。
壊すのは一日ですが、復活するのには数年かかります。
完全に壊されてしまうと、その復活も難しくなります。

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これをやっちゃうとですね、次から魚が来てくれなくなるわけです。
魚が来てくれないと、遊び場所がなくなるわけです。
結局自分で自分の首を絞めているわけです。
そう言った採集家は、ホント頭悪いんじゃなかろうかとストレートに思います。
おっと、言い方がちょっと過激になってしまいました。

サンゴや岩を壊しての採集は絶対に止めましょう。
まためくった石などは、必ずもとに戻しましょうね。


飼いきれないほど採集しない

ちょっと影を潜めた感はありますが、まだまだ水面下では多いんじゃないでしょうか。
採集家なら誰でも経験がある事ですが、狙った魚を網に入れた瞬間の快感は何度経験しても筆舌に尽くしがたいものがあります。
気持ちは良く分かるのですが、飼いきれないほど持ち帰っても、結局魚を殺してしまうだけの事です。可哀相じゃないですか。
なぜなら海では群れで泳ぐ魚でさえ、水槽の中では同種同士激しく争う事が多く、結局弱いものから順に殺されていくからです。
ひとつの水槽に1種または1ペアは、海水魚を飼育するものにとっては常識のはずです。
また採集は上手でも、飼育は下手って言っているようなものです。

採集に来れなかった人に頼まれて、余分に採集して持ち帰る事もあるでしょう。
その程度の事は良いとして、こちらから気を回して頼まれてもいない物を採集して持ち帰るのは、ひょっとしたら迷惑かもしれませんよ。


むやみに採集場所を教えない

ネット上で採集場所を教えないという事は、今や常識になっています。
不特定多数の人に採集場所を教えるのは、今まで述べてきた事柄を侵すダークサイドな採集家に知れてしまう恐れがあるからです。

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では特定多数の人に教えるのはどうでしょう。
その人は初対面の人ではないですか?その人の考えを良く理解していますか?その人の友達も知ってますか?
教える相手を良く理解していないのに、簡単に教えてしまったり採集場所に連れて行ったりするのは、実は危険な事かもしれません。
特にその人は良識のある人でも、友達に悪心を持つ人が居ないとも限りません。
「そこまで神経質にならなくてはいけないの?」と言われれば、「それほど危機的な状況です」と答えるほかないでしょう。
本来であれば、皆で情報を共有しあって誰もが楽しめるようにするべきだと思います。
しかし年々破壊されていく現状を目の当たりにすると、悲しい事ですが仕方のない事だとも言えるのです。

反対に教えてもらった側はどうすべきでしょうか。
感謝するのは勿論ですが、それこそ他の人には教えないと言う事がが必要になります。
教えてくれた人に信頼されているのですから、それにはキチンと答えるべきです。
万一、誰かに教えたり連れて行ったりする場合は、情報源の人に事前に承諾を得るのはマナー中のマナーですね。


一人で立ち向かわない

これまで述べてきた事は、さほど難しい事ではありません。
誰しもが日常生活で行っている事と同じですね。

しかし非常識な採集家はそうではありません。
そういう人達に対して、正義感を持って注意をする事は大切な事です。
しかし相手は非常識な人間です。どんなしっぺ返しが待っているか分かりません。
そういった場合、一人で立ち向かうのは止めましょう。
今まで言ってきた事と矛盾しているかもしれませんが、まずは大きなトラブルに巻き込まれない事が大切です。


その他の事について

ここに書いてきた事は、あくまでも私が考えるルール・マナー・モラルです。
書き漏らしている事もあれば、異論もあるでしょう。
是非、良い意見を聞かせてください。
ただし誹謗中傷、冷やかしは嫌よ。